紫式部を辿る旅4〜越前和紙の里、卯立の工芸館
パピルス館から和紙の里通りに入り、すぐ左手に卯立の工芸館があります。こちらは、昔ながらの道具で越前和紙をつくる工程を見学できます。まずは、材料の楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)。中でも、雁皮は、栽培が出来ず、山に毎回取りに行くのだそうです。
楮の場合
①切り取った楮の生木を長さ約1メートルに切り揃え、束ねます。楮の束を釜に入れて蒸しあげ、冷水をかけて皮をはぎます。
②木の皮は、黒皮、甘皮、白皮の三層から成ります。写真のように真っ白にするためには、さらに一晩水に浸してから表皮を削りとります。
③よく洗って洗い場に座って繊維についた塵を丁寧にとります。これが大変な作業で、朝から晩まで家族総出で、ひたすら塵を見つけ、指先で丁寧にとります。紙は冷たい水であればある程、仕上がりが良いそうで、真冬でも、冷たい水に手を浸した状態で一日中作業するとのこと。冬場はどんなに辛いでしょうか!ずっと座ったまま、冷水に手を浸したまま、三日三晩作業が続くこともあるそうです。
④厚い板の台に置いた白皮を樫の木の棒で打ち叩きます。白皮の繊維を解きほぐし、適当な長さにするための紙の質を左右する、重要な作業です。職人さんが叩くと、とても良い音が響き、軽そうなのですが、実際やらせて頂くと、棒は重く、何度も打ち下ろすには、相当な体力がいります。
⑤いよいよ簀桁(すげた)を使って紙漉きです。私が体験した、4倍くらいの大きな簀桁で鮮やかに漉いていきます。とても軽やかに気持ち良さそうにみえますが、先ほど体感した重さを思うと、その鮮やかさに感嘆するばかりです。
⑥漉きあげた湿紙は、紙床(しと)に一枚ずつ、積み重ね、一晩おいて自然に水分を出させます。翌朝、圧搾機にかけ、水を絞り、水分を取ります。一枚一枚剥がし、天日に干す、または、乾かす室(むろ)に入れて乾かします。
以上が簡単にまとめた手順ですが、それぞれの工程が重労働。そして細かい作業で、少しでも手を抜くと出来上がりを大きく左右してしまいます。日頃、和紙を使わせて頂いていることに、言葉に表せない感謝、そして、これだけのお仕事の紙作品に、書かせて頂くことの責任を感じました。もっと修行を積んで、紙を生かすような書作品を作れるように努力しなければと、心から思いました。本当にありがとうございます。
紙を天日で干す場所