源氏物語~紫式部からのメッセージ⑥
Mariho
まぼろし 「幻」第四十一帖
まぼろしは、冥界と現世界とを往来するという幻術士のこと。
光源氏も五十二歳。最愛の紫の上亡き後、悲嘆にくれる光源氏。季節は変わっても癒されることのない悲しみ。年を越したら、出家するつもりの光源氏は身辺を整理します。
季節のうつろいとともに謳われる和歌。十月に光源氏が亡き紫の上の魂を探してほしいと詠んだ歌は、桐壺の巻の桐壺帝の歌と唱和するかのようです。
巻名の由来となった歌を作品にしました。年の暮れ、世俗最後の新年の準備を指図し、正月に備える光源氏。大晦日、出家の心構えのできた源氏は、わが世の果てを思い一人歌を詠み、
四十一帖にわたる源氏の物語はここで終わります。
【釈文】「大空を かよふまぼろし 夢にだに 見えこぬ魂の 行方たづねよ」
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