源氏物語~紫式部からのメッセージ⑩
Mariho
甦る文~六条御息所1 「須磨」 第十四帖
右大臣の娘、朧月夜君との関係を発端に立場が危うくなった源氏は、自ら須磨に謹慎することにしました。わびしい須磨で暮らす光源氏に、伊勢の斎院からお見舞いの使者が訪ねてきます。娘の斎宮に付いて伊勢に滞在する六条御息所からの文です。
「並々ならぬ思いの数々をお書きになっていらっしゃる。その文言や筆跡などは誰よりも格別にしっとりと優美でたしなみの深さも察せられる」(須磨の巻)とあります。高野切第一種の古筆を参考に文を再現してみました。
再現にあたっては、以下の点をポイントとしています。①書風 高野切第一種 、②版木による型文様を刷りだした白い料紙を四~五枚継いで、③源氏への溢れる想いを制御しながらも、思いをこめて、それが筆をうち置きうち置きという動作となり・・・
【釈文】「なほ現とは思ひたまへられぬ御すまひを・・・ わが身なりけり」
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