官能美〜朧月夜の君の筆跡
Mariho
登場する姫君の中、一際個性を放つのが朧月夜の君。東宮の女御に入内する予定だった姫君は、宮中の桜花の宴の夜に思いがけなく光源氏と出会います。後に関係が発覚して入内は取り止め、光源氏の須磨蟄居へのきっかけとなります。奔放な中にも優雅さのある魅力的な姫君に光源氏は夢中になります。
そんな姫君の個性にピッタリな古筆、それは香紙切。平安時代古筆の中でも、奔放に筆を走らせる魅力的な古筆です。少し文字が怪しくてもお構いなし。心のままに筆を走らせ、時には絡みつくように、時には大らかにと自由気まま。華やかで艶やかな魅力があり、ファンも多い古筆。まさに朧月夜の君のイメージにピッタリです。
香紙切をもとにして、朧月夜の筆跡を再現してみました。下の作品は光源氏と出会った時の名場面。『朧月夜に似るものぞなき』と口ずさみながら1人廊下を歩く姫君。姫君の登場の中、唯一、1人で歩いて登場する姫君です。
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