えとせとら

中宮彰子の女房たちpart2~『紫式部日記』より

Miyako

前回は、紫式部が彰子後宮の美しい女房たちを詳しく観察し書き記したことを紹介しましたが、その中に入っていない人物が2人残っています。それは、紫式部が嫌な思いをさせられた女房たちです。

1人は左衛門の内侍です。彼女は天皇付きの内裏女房で、実は彰子女房ではないのですが、『紫式部日記』に有名なエピソードがあるので、大河ドラマで登場しているのでしょう。紫式部に対してあからさまな嫌がらせをした人です。

ある時、一条天皇が『源氏物語』を読んで、「この作者は『日本書紀』を読み解いてくださらなくては。本当に漢文の才能がある」と感心したのを聞いた左衛門の内侍は、紫式部に「日本書紀のお局様」とあだ名をつけて宮中に言いふらしたのです。

それに対して紫式部は、笑止千万!私は実家の侍女の前でも慎んでいるのに、そんなことするものですかと腹を立てています。

日記の記事は、そこから、娘時代に父親に「お前が男じゃなかったのが不運だ」と言われたエピソードに移ります。前回の大河では父親に、「お前が女でよかった」と言われた感動的な場面がありましたが、実際はどうだったでしょうか。

その後、紫式部は人前で漢字の一の字も書かないようにしたと書いていますから、彼女の心が最も敏感に反応するところを左衛門内侍が突いてしまったということなのでしょう。

もう1人は彰子の女房の一人、馬の中将です。彰子が皇子出産を終えて内裏に戻ることになり、女房たちも牛車で移動する時に、馬の中将は紫式部と同車することになったのですが、その時、まずい人と一緒になったという顔をしたそうです。彼女は、普段から紫式部を何となく気に入らないと思っていたのでしょう。

紫式部は、そんな態度をされるのは不愉快だと思いながら、馬の中将が車から降りて前をふらふら歩く後ろ姿を見て、自分も同じように見えるのだろうとも書いています。左衛門内侍に比べると、馬の中将に対してはどこか余裕のある対応です。

 さて、2人の女房は紫式部に不快な思いをさせましたが、それを日記に書き記して後世まで残した紫式部の方が、実は底意地が悪い人間だったのかも、と思うのは私だけでしょうか。

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平安文学と出会ってその世界に魅了され、読み続けています。1000年前に確かに生きていた人の息遣いを感じると心が震えます。自然や人を深く愛した日本文化を大切に、そして一緒に楽しみましょう!
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